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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

阿弥陀如来坐像 浄瑠璃寺

浄瑠璃寺阿弥陀如来坐像の修復を終えたことを祝した展示会が奈良博で行われている。聖地南山城(みなみやましろ)と題して、京都と奈良の境目に集まる仏像たちが集結している。

京都と奈良をつなが道は山を越えて移動する方法と、木津川など水運を活用した移動方法がある。古都である平城京平安京を作るための木材運搬などは水運あってこそ出来た代物で、名僧たちの物資調達(勧請)や土木技術の統括力が千年の都を作り上げたといって過言ではない。

今でこそ京阪奈の境目は公共交通機関の本数がそれほど多くなく、アクセスがしやすい場所ではない。観光面でも奈良市内や京都市内には修学旅行生やインバウンド観光客も含めて、かなりの数が来ている。しかし、浄瑠璃寺を含む南山城地域は観光目的として訪れる人はいるものの、それほど多くない。そこを目指して行く人以外は来ない場所となっている。

ひっそりとした南山城地域では戦禍から外れた位置にあることから、平安貴族たちの別荘的な寺院が今に残っている。浄瑠璃寺は平安貴族の最高峰である藤原家の手で整備が進み、三重塔か見る本堂、そして内部で金色に輝く阿弥陀如来たちが池に映り込むことで極楽浄土を立体的に作り上げた。この阿弥陀如来坐像の修復が数体ずつ行われた。

今回の展示会では2体を出品。西新館の展示物を見終えた東新館の入り口正面に展示されていた。浄瑠璃寺で見るよりも一回り大きく見えた。寺では比較対象となる他の仏像が全体的に大きいためで、1体だけでも十分に本尊となれる迫力がある。また、寺では背後は見ることができないが、360度どこからでも見える位置に鎮座していた。光背も少し離して展示しており、浄瑠璃寺阿弥陀如来坐像を満喫できた。平安時代の作品で九品往生に基づく9体すべてが揃っているのは他に例がなく、この展示会が終了後には浄瑠璃寺で綺麗になった9体が一度に見ることが出来るはずだ。

さて、国宝ではないが同じ部屋に浄瑠璃寺関連で十二神将の展示があった。同寺院から流出して東博静嘉堂文庫が所有者となっているが、運慶展で久々に十二体が集まった。今回も十二神将すべて揃っての展示となり、これを見に行くだけでも十分価値がある。12体すべて個性的な表情と武器を持って見得を切るポーズは動きのない阿弥陀如来を護るのにうまい対比となっている。ショーウインドウに並列的に展示されていたので正面しか見れなかったことは残念だった反面、ガラス反射が少なく全体的に明るい照明だったこともあり、これまでで一番見やすかった。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。