浄瑠璃寺は境内の中心、ど真ん中に池があり、その池をはさんで対岸に本堂と三重塔、池の中に弁天社を構える。いわゆる浄土式庭園の典型例で、本堂を彼岸、三重塔を此岸と見立てて配置している。
彼岸、あの世を表現した本堂内には黄金に輝く九体の阿弥陀様が鎮座し、この風景を観ると死の恐怖心より見てみたいという欲求に代わる。平安時代に流行ったこの形式で、当時から仏像とそれを覆う建物が残っているのは浄瑠璃寺のみ。
九体の阿弥陀仏像は横一列に配置されるため本堂は横長に造られている。真言宗系の仏像だと立体曼荼羅としてフォーメーションを組んでいることが多いが、こちらは平面的に配置している。なんとなく分身の術を使って並んでいるようにも見える。この仏像を見せるためか、堂内の障壁や柱には彩色はもちろん絵も描かれていない。極彩色の堂内に仕上げることなく、阿弥陀様のみの魅力で本堂を包んでいる。