コロナ禍前に行った愛媛県の石手寺。前回の訪問は駅から出るバスで行った。地図アプリで調べると、宿泊予定の道後温泉から歩いて30分もかからないことが分かり、温泉に入浴する前に一汗かくために歩いて訪れた。
石手寺は四国八十八ケ所巡礼の第51番札所。巡礼者たち(お遍路さん)は四国を歩いて巡っている。今回の訪問時も白装束に同行二人と書いたお遍路さんをぽつぽつと見かけた。みな年配の方で、コロナ禍で外出できなかった分を取り戻すように力強く歩いていた。道後温泉から石手寺へは一山越えた裏手にある。ルートは山を迂回か伊佐爾波神社からの山越が選択でき、行きは迂回で帰りは山越えを選択した。それほど負荷はなく、手軽なハイキングコースといったところだ。
石手寺の国宝は二王門。重要文化財が三重塔、本堂、鐘楼、護摩堂、鬼子母神、五輪塔と文化財建築の宝庫となっている。しかも、境内はそれほど広くなく真ん中で見渡すとそれらが視線に入る。それらは鎌倉から室町時代に作られたもので、寺社建築のワンダーランドとなっている。
さて、以前に訪問した際、二王門の扱いが国宝らしからぬ点が気になっていた。なにせ、門のそばに大量のパンフレットを置いたり、門の物陰に掃除用具などが置かれたりして、国宝の扱いをされていなかった。門は入り口なので、参拝者が最初に目につく場所なので近所の寺院でもなかなかしない仕打ちである。
今回の訪問時は反省してか、コロナ禍で時間ができたためか、物置状態は解消し少しだけパンフレットを置く程度でだった。鎌倉期の建築物の特徴を備えた門だそうだが、周りに同時代の建築物がごろごろあると、そういうものと思って見てしまう。
さて国宝に気を取られた前回に比べて余裕があったため、この寺院が壷阪寺級の混沌に満ちていることに気づいた。入り口から石仏がぽつぽつ置かれていたり、山の上に像が立っていたりは前回も気づいていた。そこから、絵馬堂のカラフルな十二神将や韋駄天堂の東南アジア風の木造彫刻などエキゾチックなものが並ぶ。そしてカオスの極みがマントラ洞窟で、洞窟内には地蔵がセンターラインに並ぶ。全長約155メートルで、金剛界と胎蔵界を表現しているというが、どこが両界なのかがさっぱり分からない。この洞窟を抜けると伊佐爾波神社への近道となるので、そのまま退散した。観光地に近い寺院だけあってアトラクション性に満ちていた。