2025年に大阪で開催される万博を前に、 大阪市立東洋陶磁美術館はリニューアル工事を行っている。再開は24年春を予定していることから、同館所蔵の名品たちが各地へ巡回している。
この巡回で最も気合の入っている展示会となりそうなのが泉屋博古館東京で3月18日から開催される特別展である。なにせ、 大阪市立東洋陶磁美術館が開館されるきっかけを作った住友グループが前面バックアップしている美術館だからだ。
大阪市立東洋陶磁美術館のコレクションは大阪に本拠地があった安宅産業の資金でオーナーが集めた陶器を中心に形成している。そもそも安宅産業の破綻により、事業は伊藤忠商事が吸収合併した。その他の集めた名器を含む残存財産は金融機関が償却して受け皿の会社で預かっていた。散逸することを惜しまれる声が高まるとともに、住友グループの協力を持って、陶器コレクションは大阪市に寄贈。(蛇足だが受け皿の会社に移す前に、速水御舟の名品たちは山種美術館が購入している。)この寄贈品を展示する施設が東洋陶磁美術館である。なので、住友グループには多大なる恩がある。昭和の時代だと住友と言えば関西のイメージがあったが、平成に入り企業合併が相次いだため、関西のイメージは薄らいでいる。縁の深い住友系美術館、しかも東京での特別展は、東洋陶磁美術館いや安宅コレクションの名器を惜しみなく楽しめることだろう。sen-oku.or.jp