国宝の絵巻物で現代人にも親近感が涌く作品が鳥獣戯画だ。ウサギやカエルなどが滑稽な動きで描かれている作品で漫画の原型になったと言われる。
その鳥獣戯画は甲乙丙丁の4巻からなり、引用されることが多いのが甲乙の巻である。中之島の香雪美術館で開催されている明恵展では前期と後期で2巻ずつの展示をしている。見に行ったのは後期は丙丁の巻物。甲乙の躍動感とユーモア感ある擬人化絵の代表に比べて、丙丁に架かれているものの印象が薄い。それもそのはずで、人々が鳥獣同様に遊びまわる様子が描かれている。当時の市井での遊びが分かる貴重な絵巻物であるので国宝級であるのは間違いない。しかし、動物が遊ぶ姿に比べるとインパクトは薄れる。見るのならば甲乙つけ難い方になる。