藤田美術館展では工芸品に描かれている菩薩やゆるキャラが宣伝ポスターなどに使われている。この絵が描かれているのが仏功徳蒔絵経箱である。
経典を入れる箱は数あれど、箱単独で国宝指定を受けているのは4点(経典の付属として指定はもっとある)。その中でも藤田美術館のものはかなりゆるい。箱には空中浮遊する菩薩とその下界では動物たちが描かれている。当時の蒔絵技術の限界だったのかリアル路線からは少し外れている。木々や風景、仏は緻密に細工されている一方で、動物はシルエットで小さく描かれている。それぞれ躍動感はあるのだが、如何せん小さくアイコン的なデザインなのでかわいらしい。涅槃図で悲しむ動物が愛らしいのと同じく、経箱の限られた空間で菩薩への動物たちの愛情が観ていて癒しになる。