国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

【明恵展】絹本著色仏眼仏母像

都心の高層ビル内に造られた美術館は仕事帰りなど気軽に行きやすいメリットがある。一方で、展示スペースが大きく取れないデメリットがある。その点で六本木のサントリーミュージアムは2階分のスペースを確保して広々とした展示が出来る。その前例に倣わず平面的なワンフロアのみで、コレクターの人となりの説明と茶室を再現した中之島の香雪美術館は常連になればなるほどそのスペースがもったいなく思える。ともに常設展はなく、特別企画展で勝負しているので、常設部分がなくても(常設部分は常時無料開放でも)問題ないと思う。

さて、高層ビルの限られた空間は高さも制限されていている。古い博物館なら大きな作品を陳列するため高い天井を設けている。ところが、香雪美術館の天井はオフィスより高くはなっているが3メートルを超すものの陳列は難しい。そんな展示条件が功を奏したのが絹本著色仏眼仏母だろう。高さが2メートルぐらいの仏画で、ショーケースいっぱいに陳列されていて迫力十分。頭の部分に獅子冠が掛かれており、視線が自然と見上げてしまう。蓮に座った仏眼仏母像が人の等身大に近い大きさとなっており、明恵が亡くなった母親の変りとして慕ったのもうなずける出来である。高山寺で実際に掲げられた場面を見て観たくなる作品だ。

 

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。