国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

禅機図断簡(丹霞焼仏図)因陀羅筆

アーティゾン美術館ではヴェネチア・ビエンナーレの帰国展として「ダムタイプ|2022: remap」展が開催されていた。先日亡くなった坂本龍一が参加していたこともあり、大盛況だった。音と映像(マップ)を組み合わせた取り組みで、プロジェクションマッピングほど芸術性は高くなく、シンプルな造りであった。見ていると広島平和公園にある各国の言葉でメッセージを刻んだ碑を思い起させた。現代アートの部類なので、個人的な理解がそれ以上進まなかった。

別の階ではアーティゾン美術館が誇る洋画の数々を展示。18世紀の名だたる西洋画の巨匠たちの作品が並ぶ。いつ来ても美術の教科書か言ってしないそうなラインナップが揃う。また、近くの東京近代美術館で開催中だった重要文化財の秘密には出ていない所蔵の重文、青木繁の「海の幸」、藤島武二の「黒扇」を見ることが出来た。

そんな中で、同館が所蔵する国宝は人気なく、独り占めできた。東洋美術の部屋が設けられており、そこにはほとんど人が寄り付かない。なにせ、アーティゾンと横文字の美術館のため、東洋美術があることは想像しにくく、それが国宝であるとは来場者のほとんどが知らない。

暗がりの一室に古代中国の青銅器や陶器類が並ぶ中、国宝の因陀羅筆・禅機図断簡が掛けられている。因陀羅筆の禅機図断簡は5つを別々館が所有し、それぞれが国宝の指定を受けている。それだけでも珍しいが、絵画的には美しさよりも面白さが勝っている点も面白い。丹霞焼仏図もそうだが、周りの風景がしっかりと描かれているのに対してお爺さんたち(仙人)がなんともやらしい表情となっている。半笑いというか、微妙な笑みというかとにかく真面目な顔ではない。真面目なイメージの禅にちなんだものであるという点でも面白みがある。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。