国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

文選集注 東洋文庫

2021年、オリンピック開催の年に三菱一号館美術館で開催された「三菱の至宝展」で、展示品の一角を占めたのが東洋文庫が所蔵する書籍や書物たちであった。静嘉堂文庫が工芸品を中心に、三菱一号館美術館は展示会場を提供していた。三菱財閥誕生150周年を兼ねた記念展示だったこともあり、大変豪華なラインナップだった。しかし、コロナ禍の最中とあって大盛況とまではいかなかった。(入場制限をしていたこともある)至宝展を終え、その熱気を全国に伝えるべく、東洋文庫は巡回展を開催している。その京都会場へ行った。

会場は京都文化博物館。4階のみでの開催で、中規模の展示会であった。まずは文字の起源に近い書物から、翻訳用の辞書など古い書物を展示。地域によって様々な文字が生み出され、それを理解するための解説本がでていることが分かった。とくにくさび型文字は歴史の教科書で習ったが、実物を見るのは初めてかもしれない。角々しいもので、見様によってはピクトグラムのように思え、現代にも通じるアート性を感じた。書物に使う挿絵も多く展示してあった。さすがに文字だけでは見栄えがしないための展示だろう。

さて、国宝は文選集注が来京していた。中国ではすでに失われたもので、日本が書き写したものが称名寺東洋文庫に残っている。文選は詩文集で当時の知識人の教養書として必須アイテムであった。それに集注(注釈)をつけたものが文選集注である。どこの世界にも流行りものに解説書は付き物である。

東京の東洋文庫本館では写真撮影がOKだが、巡回展では叶わず。残念ではあるが、東京に行く機会があれば寄りたいと思わせる構成だった。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。