室生寺の五重塔は階段の下から仰ぎ見ると大きな五重塔に見えるが、国宝の五重塔の中では法隆寺のものに次いで2番目に小さい。興福寺の五重塔の三分の一の大きさである。金堂もそうだが、周りに大きな建物がなく、比較するものがないので大きく見える。
年輪年代測定法で調査した部材が794年頃に伐採されたものであることが判明したことから、建立は800年ごろという訂正は間違いない。
さて、国宝の劣化を防ぐ修繕事業がよく報道されるようになってきたが、室生寺の五重塔は災害被害からの復活が話題となった。
1998年9月、台風7号の強風で50メートル級の杉の木が塔に向かって倒れ、側面に甚大な被害を受けた。不幸中の幸いとして、塔の根幹・中心部分は損壊を免れた。そこで、99年から2000年にかけて復旧工事を行い、美しい姿を取り戻した。
さて、この美しい姿は歴史的な国宝なのか?という疑問は持ちつつ、奥之院へひとっ走り。短い山登りを堪能して、寶物殿へ行く。