沖縄返還および日本復帰50周年を記念した展示会「琉球」が東京国立博物館で開催されている。最近の東博の特別展は普通に2000円を超えた入場料で団体割引もなく高いと感じている。また、巡回展ならば東京より地方の方が値段を安く設定しているので、東京で入るか躊躇したが写真が撮れる1室があると聞いたので行くことにした。
沖縄は明治以前は王国・琉球として独立していた。そのため、方言で話されると全く理解できない(群島の人のネイティブな言葉ならなおさら分からない)。にも関わらず日本と親和性が高かったのは交易により大陸文化の影響を同じように受けていて、漢字文化圏にあったからだろう。そして、大陸の絶対的な影響を避けつつ、貿易立国として生きる道を貫いたため、王国が保たれたのだろう。日本がアメリカの絶対的な影響を避けつつ経済発展を遂げていた昭和に似ている。
さて、展示会ではメインとなる琉球関連資料が集まっていた。ただ、第二次大戦で戦地として激しい攻撃に合った沖縄には資料が余り残っていない。そのため、発掘品は別にして出品は各地にちらばっているものと、沖縄にあるものが半々ぐらいの割合となっている。
国宝では東大が所有する島津家文書が出ていた。島津家の薩摩藩は琉球との交易の唯一の窓口で、書面で交わした重要な内容を保管していた。それぞれ書面として独立して保管しているのではなく、古筆の手鏡のように大きな冊子に貼り付けていた。この方が無くなり難いので合理的だが、保管スペースに困る。博物館とは違い学問の府に収めることで、研究対象として保管・活用されることを思えば、最適な場所に落ち着いている国宝だ。