延喜5年に醍醐天皇の命で編纂が開始されたので延喜式と命名。式は律令を執行するために必要な細かな規則のことで、日本の法律事例集の祖となる。なので、和歌や俳句のような芸術性はなく、経典のように淡々とした書である。
原本はすでになく、平安時代の写本。大阪の金剛寺のものも国宝に指定されている。東博所有のものが最も古く、摂関家の九条家伝来の品である。
延喜式では神社の格付けもされていて、これは神名帳として金剛寺が保管している。神社の社格を決めたもので、白河天皇の時代に畿内の22社を特別選抜としたのが有名である。大陸からもたらされた律令は物事に法則を作り、その後西洋から輸入した法律へと発展していた。外部からの受け売りで独自の解釈で働き出す、日本らしい貴重な資料である。