1400年以上の長い歴史のある四天王寺だが、その存在を証明するものが四天王寺縁起である。四天王寺がどのような起こりで歴史を歩んできたかが書かれたものである。
それだけならば大きな寺院では大抵作られているのでよくて重要文化財止まり。四天王寺縁起の根本本は、改ざんされないために朱の手印が押されている。発見当時は根本本は聖徳太子自ら書いたとされ、手印がリズミカルに押されている。ただ、時代を経て本本本は発見された平安中期のものとされ、聖徳太子の真筆ではないことが分かった。これでは国宝にはならない。
国宝指定となったのはその根本本を写したものが価値があるためだ。写しを造ったのは後醍醐天皇で、自身の手印を押して完成させた。後醍醐天皇宸翰本と呼ばれており、後半に入替で登場する。根本本があって初めて後醍醐天皇宸翰本もできるので、一括での指定となった。写しのはずが作る人によっては超お宝になり、原本までも国宝となった。ものまねタレントのブレイクが本家の再ブレイクへとつながったような国宝である。