明通寺は国道27号を東小浜駅と新平野駅の間ぐらいで山道に入った山中にある。無料の駐車場を完備しているありがたいお寺で、駐車場から川を渡って見上げると山門が見える。渓谷の起伏をうまく利用していて、高台に山門、受付から緩やかな登りの先に本堂、そして一段高い位置に三重塔を配置している。山城を造るならば最高のロケーションである。
明通寺と言えばという写真アングルは本堂と三重塔が一緒に映り込む構図(真上の写真)だ。この後ろが渓谷になっていて、川のせせらぎが聞こえてくる。高い木々に囲まれているため、ひんやりしていて涼を感じるには絶好の場所だ。
三重塔は純和様で見た目をよくするため、上に行くほど小さくなっている。鎌倉時代中期の作品で、初層に拳鼻を用いる点に入宋経験のある僧重源によってもたらされた大仏様の要素がある。これは近くの若狭神宮寺と東大寺のつながりからもたらされた技術かもしれない。都とのつながりが深い若狭地域だから導入できた最新技術の痕跡である。30分もあればすべてを見ることができ、それほど大きくない境内だが鎌倉建築を十二分に堪能できる。