山中の木々を開いて池を作って庭園に仕上げた永保寺の観音堂に対して、開山堂は同じ場所にあるとは思えない静かに建っていた。
池泉式庭園を池に沿って半周した先に1本の道がある。開けた伽藍内にあって、木々が鬱蒼と茂っている奥に建物が見える。観音堂が太陽だとすれば、開山堂は月のように庭園を日陰で見守っている。
観音堂と同じく入母屋造りで、夢窓国師と開山した仏徳禅師の頂相が安置されている。夢窓国師は禅宗の僧侶として数々の名庭園を造った人物で、天竜寺や西芳寺など京都でも屈指の人気を誇る庭園を演出している。夢窓国師が直接同地に来た記録はないが、すばらしい庭園に仕上がったのは何らかの形でプロデュースしたからかもしれない。(もしかしたら名義貸し?だったかも)