人物がはっきり分かる彫刻において社会の教科書内に掲載されているもっとも古い像は鑑真だろう。モデルが分からない土偶や聖徳太子や聖武天皇のように絵画形式はあるが、彫刻だと鑑真和上になる。
僧侶にとって戒律がいかに大事かを説くために大陸から日本へと渡来。その渡来の道中も波瀾万丈で、5度も渡航が失敗しても諦めない強い志が共感を呼んだ。そして、その薫陶を受けた律僧は民衆 のために数多くの社会福祉事業や造像活動を行い、律する心の大切さを奈良の地で広めた。やがてくる平安密教や鎌倉仏教などにも多大な影響を及ぼし、日本仏教の革命リーダーで現代まで信仰の対象となっている。
「鑑真和上と戒律のあゆみ」 は京都国立博物館で3月27日〜5月16日まで開催予定。律宗系統の名品も出ているので遅延なく開催を望む。