2018年に新築・移転した刀剣博物館の国宝刀剣を見に行った。前期に行ったため、国行(来)は京都に遠征中。保有国宝3件すべてを一度に見ることができなかった。
コンクリート打ちっぱなし風ののっぺりとした建物は、両国の国技館や安田庭園など通りに和風なものが並ぶ中では異彩である。どちらかと言えば江戸東京博物館に寄せた作りで少し残念だった。中も今風のおしゃれな感じ。オフィスビルと言っても疑う人はいないだろう。
さて、展示は3階部分でバスケットコートを少し広くいた程度のスペースに刀剣とそれに関わるものを展示している。借り物や付属品は撮影NGだが、同博物館所有の刀剣に関しては写真OKと太っ腹。だが、刀剣はガラス越しでライティングの関係で撮影が難しいが、思い出として残すには十分だ。
さて、刀剣ブームの昨今。少なからず刀剣女子が来ており、お目当ての刀の前で撮影大会となっていた。国宝の延吉・国行は刀剣女子の関心がいなのでじっくり見れた。伝来がはっきりしていることが刀剣類の国宝指定には重要なので刀の美術的な価値の違いが見えずらい。なので、横並びの刀を見ても国宝と重文、指定なしなどの違いが微妙。シャッフルされると分からない。
延吉については後水尾天皇の御料品ということもあり、美術品として美しさを感じた。少し太めの刀身にストレートな刃紋が印象的で、大和様と古備前様を合せた姿がなんとも言えない良さとなっている。付属の鞘も豪華な金梨子地で高貴さを演出するにふさわしい拵えとなっている。
新築した建物の割には展示スペースが限られている。都内の一等地なのだがら仕方ないが、おしゃれな空間演出を展示に活用してもよかったではと思う。また、以前見た林原美術館の刀展や備前長船刀博物館がよかっただけに、王道を歩む刀剣博物館のこれからの企画展示に期待したい。