10月の下旬から11月の上旬にかけて毎年、奈良国立博物館で正倉院展が行われる。コロナ禍以降、一部のチケットを除き時間指定を導入している。朝8時の開場を踏まえ、開幕週の8時台で奈良へ入る。早い時間帯だけに入場後派身動きが取れないほどの混雑はなく、なんとか陳列物は見ることができる程度の混み具合となっていた。もちろんすべて国宝指定外だが、三の丸尚蔵館同様に所管が宮内庁から文化庁へ移った途端、大量の国宝指定を受けかねない代物ばかりであった。御物を堪能した後、開幕週にどうしても奈良へ行きたかった理由の地へ向かう。
JRで法隆寺駅に行き、20分程度歩いて法隆寺へ入る。国宝の殿堂である法隆寺でもめったに見ることが出来ない国宝が待っている秋の特別公開を見に行く。大宝蔵殿は常設展示ではなく、春秋で趣向を凝らした展示会を開く。
今回は法隆寺を彩る動物たちと五重塔。五重塔は修繕工事で発見された関連品を展示していた。常設の彫刻群の後に続けて、法隆寺の寺宝たちに描かれている動物たちをピックアップした展示となった。獅子や鳳凰など、王族に相応しい動物があしらわれたものが並ぶ中で、国宝の黒漆螺鈿卓には蝶を螺鈿であしらったものが散りばめられていた。高さがあるショーケースであったので卓の長い脚の煌びやかな蝶たちをじっくり観察することが出来た。長い脚は鷺足と呼ばれるそうで、中尊寺経蔵堂内具にも似たようなものがある。卓自体は高さは70cmほどだったので立った状態で仏具などを置くために使われていたそうだ。