開幕最初の週で正倉院展にいった最大の理由は法隆寺の四騎獅子狩文錦の公開と重なる日がそこしかなかったためだ。法隆寺内では21年ぶりの公開の割にはほとんど見に来ている人がいなかった。(境内は修学旅行生や観光客で賑わっていたにも関わらず)
四騎獅子狩文錦は京博の国宝展で見て以来の再開。今回はホームである法隆寺での見物となった。入り口廊下を左折した建物が中倉で、五重塔関連や黒漆螺鈿卓などを展示していた。奥の渡り廊下を経て南倉に入り、その他の展示物が並ぶ2倉での特別展示となっている。この南倉に入ってすぐ、左手にある個室状態の部屋に四騎獅子狩文錦が展示されていた。日が入らない様に目隠しを備え、鍵がいっぱいかかっている厳密な展示ケースに入れられていた。このケースが厳重過ぎてかなり大きい。高さもそこそこあり、見物者にとってはとても見えづらい作りとなっている。国宝だから致し方ない部分はあるものの、見せるのを拒んでいるかのようなセキュリティー装備はなんとかしてほしい。
四騎獅子狩文錦は絨毯のように広げて置かれた状態で展示していた。色は褪色していたが、解説によると赤や紺などの原色を多用した色合いだったそうだ。ペガサスに乗った人物が振り返って獅子を射る姿はオリエンタルなデザインで東洋的ではないエキゾチックな雰囲気があった。模様の一部に山や吉の漢字が織り込まれていることから、中国で作られたペルシャ風のデザイン布であることが分かる。縦250cm×横134cmの巨大な布は3年ぶりに大宝蔵殿での特別展開催を祝すのにふさわしい逸品であった。