古都奈良の文化財がユネスコ世界遺産に登録されて25周年を記念して販売されている六社寺共通拝観券。それを使って元興寺へ行く。
元興寺は観光の集積地である興福寺や東大寺、春日大社からは少し離れた奈良町にある。国宝である極楽坊本堂は低層の建物で、高さは周りにある住宅と変わりない。なので、五重塔のような高い目印がなく、入り組んだ奈良町では道を間違えると見つけ出すのが困難となる。
今現在、元興寺で残っているものは極楽坊という子坊だったもので、奈良時代にはその西側に伽藍が広がっていた。元興寺の本堂などは焼失してなくなっているが、日本最古の本格的寺院であった法興寺(現在の飛鳥寺)の後身として、元興寺は古都奈良の文化財としてなくては語れない寺院である。
極楽坊本堂は少し変わった内部構造となっている。本堂の真ん中に心柱のように仏を祀る場所があり、その周りを歩き回ることができる。だいたいの本殿は正面に仏殿があり、それを静かに拝むのだが、念仏を唱えながら歩き回る行道を行える構造になっているのは珍しい。まるで塔のように思える。