国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

経蔵 安国寺

安国寺の経蔵は飛騨高山にある国宝建築である。最寄り駅は、観光地の高山駅や、アニメ映画で一世を風靡した「君の名は」のロケ地である飛騨古川駅でなく、飛騨国府駅だ。国宝を観るためでなければ降り立つことはなかった。

飛騨国府駅から安国寺までの交通手段が見つからず、歩くことにした。さすがに飛騨高山が高地なので少し涼しい。それでも日差しはとてもきつく、夏場に来るべきところではないと思った。(ただし、冬場は雪深くなる可能性)駅舎出口からは線路渡って東へ行くとそれとなく安国寺に近づく。1時間弱歩くと、山の方に安国寺があると標識が出てくる。そこまではほぼ平坦な道だったので、ラストは心臓破りとまでは行かない坂を駆け上がって、安国寺に到着した。

寺はそれほど大きくなく、住まいと本堂が横並びになっていて、田舎のお寺さんによくある風景であった。本堂横に開山堂があり、重要文化財の瑞巌和尚坐像が祀られているそうだが、予約していないので見ることは出来なかった。そして、予約していないことで不安があった。ネットなどでは経蔵までの道中には柵が合って予約がないと入れないと書いているとあった。長居するつもりがなく少しでも見れたらと思ってあえて予約せずに行ったが、柵がされて文言も書かれていた。が、その柵の手前から見上げたら経蔵が正面に見えた。何のことはない、予約なしには経蔵の中に入ることができないという意味だった。とは言え、柵を乗り越えて少し高い位置にある経蔵へ行ってもよいのか思案しつつ、解決方法があるかもと一旦は墓地などがある裏へ回った。そしたら、むき出しの経蔵がまる見えだった。ここには注意書きがなく、経蔵内に入ることもないのでじっくり観察できた。

安国寺は全国にあるが、その起こりは室町幕府を築いた足利尊氏・直義兄弟が、夢窓国師の勧めで国土の安寧を計るため、1345年に光厳上皇院宣により、国ごとに利生塔とともに設置したものである。その中でも飛騨の安国寺には1408年に建立された経蔵がそのまま残っている。建物全体は禅宗様だが、所々に和様が加わった折衷式となっている。内部にある輪蔵は日本最古のものだ。国宝の経蔵は安国寺ものと、法隆寺唐招提寺にある3つが指定を受けている。大寺院に肩を並べる安国寺の経蔵だが、高山には訪日外国人も多く来ていたにもかかわらず、観光資源としてはいかされない立地の悪さ。秘境である飛騨地方らしい国宝かもしれない。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。