国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

熊野懐紙 「深山紅葉・海辺冬月」 陽明文庫

織田信長が本能寺で亡くなり豊臣秀吉が天下統一を果たし、関ケ原の戦いを経て徳川家康江戸幕府を開き、泰平の時代が到来した。運命は長寿であった家康に味方した。

幕府を開いた後、駿府で(形だけの)隠居生活をしていた。西洋的な物品を集めたようで久能山東照宮博物館から屏風絵や時計などが貸し出されていた。江戸時代は鎖国していたイメージが強いが、家康自身は宗教の力に対してそれほど危機感をもっていなかったのかもしれない。また、家康が描いたとされる鷺図や宝船図などゆるふわな感じで、一部でブームとなっている家康大好きの三代将軍・家光が描く絵にも通じる。

その中で、国宝の熊野懐紙が展示されていた。茶道具とともに並べられていたので違和感はないが、なぜと思い調べて見ると家康は藤原定家を愛好していたそうだ。家康が熊野懐紙を模写したものが、姫路藩酒井家に伝わっている。天下取りが意識され始めた文禄期(1592-96)以降に書に大きな変化があったとされ、秀吉の天下は長く続かないと思っていたのかもしれない。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。