北円堂は日本に現存する八角円堂の中でも屈指の美しさを誇る。堂内の仏像たちがすべて国宝であり、それを護る建物として相応しい出来栄えだ。
お堂の由緒は興福寺の創建者である藤原不比等が亡くなって1周忌の721年に元正天皇が長屋王に命じて建てられた。北円堂のすぐ横は急な下りの階段(斜面)となっており、一段高い場所にある。今は高いビルが立ち並んで少し視野を遮っているが、奈良時代なら平城京を見下ろせる絶好の場所となっている。
現在のお堂は1180年に被災した後に、1210年に再建されたものだ。堂内の仏像すべてが仏師集団・慶派の仏像が並ぶ。室内は春と秋に公開されるが、建物自体の外観はいつでも見ることが出来る。柵に囲まれているため、南円堂のように信仰の対象としてお参りができないのが残念である。