毎年10月17日の1日だけ見学できる興福寺南円堂。今年は西国三十三ヶ所参り1300年と天皇即位を記念して11月10日まで見ることができる。
国宝で1日限りの御開帳は珍しくないが、それらの安置場所は同日以外人通りが少ない。しかし、この南円堂に限ってはいつも参拝客でにぎわっている。なにせ、33ヶ所巡礼地であるばかりでなく、国宝建築物や彫刻仏の宝庫である興福寺に立地しているためで、奈良観光の目玉施設の一つであるためだ。
南円堂で一番の見どころは木造不空羂索観音菩薩坐像。東大寺の法華堂にも不空羂索観音菩薩像があるが、あちらは立像だ。お堂いっぱいに光背が広がる坐像は見ていて壮観。拝観者を包み込む感じがあり、周りを囲む四天王像と法相六祖坐像が国宝であることも忘れるぐらい、神々しさを放っている。四天王像は近年の研究で入れ替え作業があり、元あった場所に据え付けられたが、観音菩薩はいつまでも同じ場所に鎮座している。
南円堂と北円堂内の彫像はすべて国宝。この時期だけのスペシャルコラボ開館中。東金堂と国宝館にも国宝彫刻が満載で、興福寺の所有する国宝彫刻を一度にすべて観るまたとない機会だ。なお、奈良博で開催される正倉院展と時期が被るので、このコラボ見学狙いで多数の参拝者が来ることだろう。(南円堂は11月10日で終了なので、正倉院展より早く始まり早く終える。天皇家の秘宝展だけに気を使った会期設定なのかも)