国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

歌仙歌合

大阪府和泉市にある久保惣記念美術館で行われている「日本美術の名品 -和泉の文化財とともに-」を見に行く。

2021年冬に1度訪れたことがあり、今回で2回目。とはいうものの、同館所蔵品の巡回展を2017年の松濤美術館、2022年の西宮市大谷記念美術館開館50周年記念・和泉市久保惣記念美術館開館40周年記念交換展に見ており、遠い美術館と言うイメージはない。

前回は駅から歩いて行ったが、起伏があったので今回はバスを利用した。新興住宅地を抜けると「KUBOSO」のアルファベットの看板が見え、しばらくすると美術館前に到着した。一度来て知っているので驚かないが、看板から美術館前まで美術館の敷地で、けっこう長い。建物が奥から茶室、本館、ホール、ギャラリー、新館が横に並び、美しい庭園が対面に配されて、非常に和む造りとなっている。宸翰の前が池泉式庭園、本館の前が高低差を感じさせずに茶室へと導く木々の配置となっていた。どちらも青空によく映える。

新館では発掘された古代中国の青銅器や鑑などと、モネやルノアールゴッホなど西洋画、浮世絵などの定番が並ぶ。企画展は新館で開催。日本美術の名品ということで、絵巻物や茶器、仏画や鑑を展示。和泉市内にある寺社から出品されているものもあり、充実したコレクションがあるため忘れていた市立の美術館であることを再認識する。

日本美術の名品展には国宝の歌仙歌合が展示していた。平安中期の公家・藤原公任歌人ベスト30人を選び、その作品を計130首を書写している。流れるような文字の美しさもさることながら、紙に漉き込んだ紫と藍の飛び雲がかなり大きくアクセントとして申し分ない。文字が雲間に流れる光のようで、今風だと天使の梯子(薄明光線)と言うかもしれない。

掲載形式は選ばれた歌が上下二段で並ぶ。柿本人麻呂紀貫之から始まり、凡河内躬恒/伊勢が10首ずつ選ばれ、その後は3首が選ばれた歌人が続く。上下で歌が並ぶのはあまり見たことのない。まさに日本美術の名品である。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。