国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

鳳凰耳花生 銘万声 和泉市久保惣記念美術館

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 2019年秋に渋谷区立松濤美術館で行われた和泉市久保惣記念美術館の名品展。記念館が所蔵する陶器や日本画が出品され、楽しませてもらった。今度は所蔵館で観たいと思い、現地まで行った。

記念館は新大阪駅よりか関空の方が近い和泉市にある。電車だと泉北高速鉄道に乗ることになるが、この鉄道は駅数に比べて運賃が高いことで知られている。なかもず駅から記念館の最寄り駅・和泉中央駅まで6駅しかないにも関わらず330円かかる。ただ、高速鉄道を謳うだけあり距離が長いので、距離での運賃比較だと相応の価格となるようだ。

駅を降りて記念館行きのバスが出ているが今回は歩いて行ってみる。歩いて30分ぐらいの距離にあり、道中は郊外の住宅地となっていた。起伏に富んだ道中であったが、久保惣と分かる看板が現れたところで変化があった。記念館が現れた場所は下り坂になっていて、見晴らしのとても良い高い場所だった。記念館まで住宅街で、その奥の風景は畑とまたその奥に巨大な物流センターが遠目に見えてた。住宅事情が飽和状態になったバブル期が手前、合従連衡が進んで流通形態が変化した平成が奥に見え、関空に近いこともあり時代の変化が分かりやすく見える場所となっている。

和泉市久保惣記念美術館の看板が見えてから200メートル行ったところに入口があった。入って分かったことだが看板があったあたりは旧館があり、新館ができたので入口が変わったようだ。

新館には古代の青銅器や瓦屋根の文様など古代の品々と、モネ、ルノアールなど印象派の絵画やロダンの彫刻などが常設している。これらは松濤美術館には来ておらず、西洋画も蒐集していたことを初めて知った。新館から旧館までは200メートル。その間にホールや貸し展示会場などあったがコロナのため閉館中だった。整備された日本庭園を見ながら移動できるので歩かされている感覚はない。

旧館では東洋の焼き物展が開催。日本の焼き物は茶道具が多く、アジアのものは工芸品となっていた。その中で一番奥の部屋の真ん中に国宝の鳳凰耳花生・銘万声が鎮座していた。大きなショーケースに1点だけの展示はこれのみ。2020年秋に東博で開催された桃山展示も出品されていたので、とんぼ返りで帰阪したのだろう。東博では出口近くの最後の最後に展示されたが綺羅星の如く集まった国宝・御物群に埋没していた。流石に同館ではナンバーワンの焼き物なので一番目立っていた。解説で鳳凰耳のついた青磁の花瓶は静嘉堂や東洋陶器美術館、陽明文庫なども所蔵していていると書かれており、一堂に集めた展示を観たい。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。