国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

八大童子立像 運慶作 金剛峯寺

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本館で武田信玄関連と仏画をおなか一杯に観賞した後、いよいよ新館へと行く。

高野山の仏像彫刻が屈指の名品揃いである理由の一つが、運慶と快慶の素晴らしい鎌倉彫刻を所有しているからだ。その真骨頂を1部屋ずつで体現した新館は圧巻であった。

まず、快慶の作品が並ぶ。執金剛神立像と深沙大将立像、四天王像、それを見守る中心に孔雀明王像がすべて快慶作品。筋骨隆々とした中のくびれ強調ポーズをとった、まさに慶派の真骨頂がこれでもかと堪能できる。ただ、孔雀明王が乗る孔雀が緻密な設計でなく、金箔が成金的な色使いなのが残念だった。すべて重要文化財だったが、次の部屋が凄かった。

快慶とくれば、運慶の作品群。八大童子立像がそれにあたるが、8体もあれば結構なスペースを使うため、他の彫刻を並べるスペースはあまりない。国宝の童子6体は単独のショーケースに陳列。残りの指徳童子と阿耨達童子は不動堂にあったとされる不動明王坐像の脇侍の様に正面に造られた舞台に展示していた。この部隊全体が夜空に輝く星々を想像させるライトアップをしており、読経を永遠に繰り返すテープを流すことでコスモ(宇宙)を感じる演出となっていた。童子それぞれをじっくりみることが出来たが、さすがに東博で行われた運慶展のように背中に回ってまでは出来なかった。

快慶展、運慶展と多くの人が見た展示会の再来とまではいかないが、彫刻類は期間中は変更がないので観ておきたい内容である。普段からこの快慶・運慶だけの単独館を作っても十分集客できる展示となっている。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。