縁日は人々とご本尊との縁を結ぶ大切な日である。大きな寺院では縁日に市をたてて、お参りに来た参拝者たちの目を楽しませている。東寺の縁日は21日で、多くの露店が並ぶはずだが、コロナの影響で中止。露店がないので、少し寂しいかと思いきや、縁を求める多くの参拝者が来られていた。
東寺で縁を結びたい人と言えば、開祖・弘法大師。高野山を開いたことで有名だが、新都であった平安京の朱雀門を守護する東側の寺院を任された。西寺は現存しないの残念だが、東寺の伽藍を見ると当時の政権の力の入れようが分かる。
縁日(21日)にしか観ることができない国宝が木造弘法大師坐像である。この坐像を祀るためにできた国宝の御影堂(大師堂)に鎮座しているご本尊。坐像が納められている厨子が解放されているため、だれでも観ることができる。ただし、内陣までの距離やお供え物があるので美術品のようにじっくり間近で見ることはできない。それでも護摩法要の煤による黒光りははっきりと分かる。東寺では新しい平成12年に国宝指定物を受けたもので、国宝では新参者であるが、東寺にはなくてはならない坐像である。裏側に収められている絶対秘仏の不動明王とともに東寺のど真ん中の仏宝である。