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【茶の湯】虚堂智愚墨蹟 法語 

東博の150周年記念展示会とほぼ同時期に、京博では茶の湯展を開催している。千利休の生誕500年を祝う企画で、国宝・重文クラスがこれでもかと展示している。

茶の湯展の前期には150周年記念展を控えている東博所有の国宝が登場していた。虚堂智愚墨蹟の法語、圓悟克勤墨跡の印可状 (通称:流れ圓悟)、狩野秀頼筆の観楓図屏風が京都まで来ていた。いずれも、この後に東京へとんぼ返りとなり、150周年展の後期に登場する。

虚堂智愚は日本から来た僧たちに臨済宗を教えた。その教えが法語と呼ばれる。なので、虚堂智愚墨蹟は臨済宗の至宝となっている。一方で、流出した墨蹟はその貴重性、禅と茶の親和性によって、茶席の掛け軸としても重宝された。

松平不昧蔵であったこの法語は、武野紹鷗の愛玩品だった。この武野は千利休の師匠に当たる。来歴がしっかりとしていることに加えて、豪商の大文字屋が所蔵していた時に、使用人が蔵に立てこもり、この法語を切り裂いて自害したという逸話から、破れ虚堂という二つ名が誕生、その価値を高めた。虚堂が80歳前後の頃に書かれたものにしては力強く書かれている。日本で禅を広めるために、遥々大陸へと渡ってきた僧侶に対して、最大限の土産が現代に引き継がれている。しかし、まさか狭い茶室に飾られることになるとは、虚堂自身は想像もしていないかっただろう。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。