京博で開催中の茶の湯展の最初の2週間。龍光院所蔵の曜変天目がお目見えしていた。以前、藤田美術館の学芸員が「国宝の曜変天目は公開がなぜか近接した時期になることが多い」と言っていたが、まさにその通りとなっている。4月にリニューアルオープンした藤田美術館ではオープニングの目玉。同じく丸の内へ場所を移して開館した静嘉堂文庫は10月にオープンして、いずれも曜変天目を展示・公開している。
龍光院所蔵の曜変天目は2017年の京博で開催した国宝展で久々の登場だったが、2019年のMIHOミュージアムで開催された展示会ではその名もずばり「大徳寺龍光院 国宝曜変天目と破草鞋」であった。この2019年は3つが同時期に公開されたことから、記念のクリアファイルまで作られていた。(買っちゃいました)
それまで、ほぼ見ることができない国宝の1つであった龍光院蔵の曜変天目がコンスタントに展示会へお目見えしている。国宝ファンとしては、いつ非公開になってよいように追いかけてしまう。
今回の展示も、2017年の国宝展同様に1階の奥にある階段下の個室で展示。久々の公開だった前回は行列が出来ていたが、列はできず数人が入れ替わりで見ていた。さすがにこの5年で3回も公開されると、そこそこの人気に落ち着く。
龍光院の曜変天目は、なかの斑点は他の2つに比べて小さく、その分輝きも少ない。ただ、底の方へいくと星空のように散りばめられたようになっており、ブラックホールに吸い込まれるように見える。見れば見るほど輝きの美しさに魅せられる。残念なのが器の外側に光が余り当たっていない点。藤田も静嘉堂も外側にも輝きが見えるので、光量さえあれば輝く。
さて、曜変天目の周りには国宝が並ぶ。圜悟克勤墨蹟の印可状、 馮子振墨蹟・易元吉巻跋、宮女図などが周りを囲む。国宝展ばりのラインナップで、曜変天目に対しての厚遇が窺える。龍光院の曜変天目は近畿圏での公開ばかりだったので、次は関東圏での公開を期待したい。それか国宝・曜変天目たちの共演だ。