国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

短刀 朱銘貞宗 本阿花押(名物伏見貞宗) 黒川古文化研究所

国宝の刀を二振所有している黒川古文化研究所で名品展を開催、その展示会で2振とも展示されているというので、現地に見に行った。

黒川古文化研究所兵庫県西宮市苦楽園にあり、東洋美術を中心に収集している。春と秋の1か月間程度の開館で、常時開いている訳ではないので、これまで行く機会がなかった。最寄り駅が阪急の甲陽園駅で歩いて30分ぐらいと書いてあったので、気軽に出かけたがまさかハイキングする羽目になるとは思いもよらなかった。

駅から最短距離の道がスーパーの阪急オアシスの横の道なのだが、いきなりの山道。店自体が山に沿って建てられており、駐車場などは2階部分にあるのだが道なりに入出庫していた。階段があり登りきると住宅街にでる。そこを抜けると山道となりハイキングコースへ。登山服に身を包んだ人とすれ違うことが幾度もあった。やがて甲陽学院高校、涼宮ハルヒシリーズで有名になった西宮北高校を横目に見つつ、ハイキングは続く。両高校とも電車通学ならば毎日ハイキング。制服を着て通学すると半年でダメになりそう。

どこも山に建てられているだけあって、振り返ると神戸市内を一望できる。映画・涼宮ハルヒの消失では高校から見下ろす綺麗な夜景が再現されていて、西宮北高校まで一度でも歩いて通った(登った?)人はその時のしんどい思い出と、映画の再現度合いの素晴らしさが一気に押し寄せて感動すること間違いなし。観てから行くか、行ってから観るか、その両方か。いずれにしても京アニクオリティを堪能できる。

さて、西宮北高校を抜け、大きな道路を渡ってからラストスパート。大きな一戸建てが建ち並ぶなか、頂上付近に黒川古文化研究所はある。ここに来て気づいたのが、苦楽園が高級住宅街で歩いてくることを前提にしていないことだ。入り口には本数は限られるが苦楽園口駅からの無料の送迎バスが止まっており、次回はこれを利用すると心に誓った。

ようやく黒川古文化研究所に到着したが、登山後の検温は普段よりも高め。係員も分かっているようですんなりと通してくれた。1階は講演などを行う部屋や事務所があるのみで、展示場は2階の1室となる。

展示は古代中国の青銅器から古墳からの出土品、古銭や小判、江戸の絵画など時系列に展示していた。国宝刀は隣同士に陳列。 名物伏見貞宗は朱で貞宗と銘を書かれた刀で、本阿弥家が鑑定した享保名物帳に記載された名刀。加藤嘉明が加々爪甲斐守から入手し、近江の加藤家に伝来。本阿弥家の鑑定で朱が入れられ後、明治になって本阿弥家が購入し、黒川福三郎に譲渡された。来歴がしっかりとした刀である。

相州の正宗の子もしくは養子である貞宗作で、国宝には4振が指定を受けている作家である。東博の亀甲貞宗ヘビーローテーションで展示されているので、会う機会の多い刀工である。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。