この寺のご本尊で本堂の中心にある根本曼荼羅(当麻曼荼羅)は織物で作られた曼荼羅で国宝指定なのだが、さすがに傷みが激しく別の物に替えられており本堂にはない。いまは奈良博に寄託されており、この夏の特別展でお出ましになるかもしれない。
そして、それを納めていた厨子も国宝に指定されている。附属としての指定ならばありうるが、大きさからなのか単独での国宝指定を受けている。この厨子の裏側の特別公開がお練り供養の前日、当日、翌日にあった。
国宝の綴織当麻曼荼羅図は、厨子の中でひらひらとしないように板にくっついていたが、傷みが激しく1677年に厨子から取り外され、軸装された。この時にくっついていた板を裏面にして再利用したのが板裏曼荼羅と呼ばれるものだ。厨子の裏側の扉が開放されていて、初めて見たが板にシミがあるとしか見えず、ここに曼荼羅を感じるのは難しい。
8世紀末から9世紀初頭の作で5メートルもある。大きさだけでなく、上框に寛元元年(1243年)、厨子正面の扉に仁治3年(1242年)の銘があり、歴史的にも貴重な厨子となっている。仏像などを入れる厨子に比べると奥行きはない。動かすことが不可能に近いので建築物といってもよさそう。