鶴林寺の国宝建築物のもう一つは太子堂だ。聖徳太子薨去1400年記念が各地で行われているが、鶴林寺でも開催している。そのひとつが太子堂の公開である。
太子堂は本堂よりも古い。屋根板に墨書で天永3年(1112年)と分かる書き物が出てきてたためだ。もともとは法華堂と称しており、常行堂と対をなした天台宗独特の構成となっていた。
内部に入ると薄っすらと柱や壁などに何かが描かれていたのが分かるが、煤や風化などでとても見えにくい。この失われた障壁アートを補うのが宝物館にある復元模型で、華やかな平安絵画が描かれていたものを再現している。なので、太子堂→宝物館→太子堂の順で行くと、大変理解が進む。堂内の雰囲気は仏の世界を再現しているので、大分の富貴寺を思い出す。
太子堂にはもうひとつ見えない?見どころがある。内部の東側に備え付けの出っ張った厨子のようなものが設置されている。この中には壁面に描かれた聖徳太子像が安置されているそうで、絶対秘仏のため誰も見たことがない。公開はしていないが1977年に重要文化財に指定されている。この遠忌でも公開がなかったのだから公開はないのだろう。