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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

【中将姫と當麻曼荼羅】當麻曼荼羅厨子扉 當麻寺

奈良博では貞享本當麻曼荼羅修理完成記念として、中将姫と當麻曼荼羅展を開催している。貞享本當麻曼荼羅は国宝の綴織當麻曼荼羅が朽ちてきたことから、江戸時代初めに新調された曼荼羅である。2018年に国宝の綴織當麻曼荼羅図が修理を終えて公開されたのは記憶に新しく、朽ちてしまった部分や激しい色あせなどでとても見えにくかった印象がある。300年前の貞享本當麻曼荼羅は修理前は見たことがない、今回の展示で見る限りは新品と言ってもおかしくない綺麗で見やすい状態になっており、絵解きと平面曼荼羅を組み合わせをじっくり読み込みたくなる理想形となっていた。

4年前に開催された当麻寺の至宝である綴織當麻曼荼羅図はお目見えしていなかったが、その代わりに厨子の扉が外されて奈良博へ来ていた。厨子と言っても曼荼羅自体が巨大なためそれを納めるだけの大きさが必要で、扉も5メートル級の大きさとなっている。黒漆に金銀泥で宝相華文や花鳥が描かれており、シックな中に気品あふれる出来栄えとなっている。曼荼羅だけでなく、厨子も国宝となっている。

この扉には源頼朝など厨子製作のため寄進した人々の名が記されており、ちょうどNHK大河の鎌倉殿とリンクする出品となっている。大きさは違うが薬師寺の吉祥天像の厨子益田鈍翁によって寄贈されている。それぞれの時代で名品を守るための寄進がされており、歴史は連綿とつながっている。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。