国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

木造阿弥陀如来及び両脇侍立像 浄土寺

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しばらく国宝を観に行けていなかったので、久しく行っていない浄土寺へ行く。奈良博で2017年に開催した快慶展以前に訪れているので、4年以上前に行ったっきりであった。

浄土寺へは直行するバスがコミュニティーバスのみで、そもそも直行バスの本数が少なく電車の都合で11時29分発、12時着の便がもっとも見に行きやすい時刻となっている。コミュニティーバスということで、運賃は100円と安いのはありがたい。病院経由で、少し遠回りであるが定時に到着して、いざ拝観と胸躍らせる。ところが、思わぬ落とし穴があった。12時から1時は昼休憩で拝観中止とのお知らせが入り口前に書いてあった。真相を確かめるため、浄土堂へ行くも同じ内容の記載があった。バスの到着時間をなんとかしてほしいと思いながら、1時間待ちぼうけとなる。

この1時間を使って、寺の裏山に作られた東山四国八十八箇所石仏群を回る。どれもしっかりと作られた石仏ではあるが、風雨にさらされている関係で石製の厨子は傷みが激しいものが多かった。この八十八ケ所巡礼は30分ほどで終えてしまい、時間を潰すため境内から下った場所にある歓喜院を訪ねる。

浄土寺塔頭寺院である歓喜院は近代的な造りの庭園と、新しい本堂が建っていた。かっこよく仕上がった枯山水の庭園は昼休憩が終わるまでのゆるやかな時間を過ごすには最適で心を穏やかにしてくれた。

心が落ち着いたところで、いざ国宝とご対面。快慶作の木造阿弥陀如来及び両脇侍立像は阿弥陀様が5メートル、脇侍が3メートル近くある巨大仏像である。お堂内にはその3体しかなく、まさに三尊を安置するための厨子的な役割となっている。厨子的な内側に入っているためなのか、柵がない。もちろんおさわりはNGだが、近くで見ることができるのはありがたい。ただ、巨大なため、近づきすぎるとかえって見えにくい。

仏像は運慶作のような厳つさがない、快慶作にみる穏やかな表情が印象的な作品である。阿弥陀様が浄土へお導きしてくれる雰囲気ととても合っている。国宝でこれだけの巨体は東大寺の廬舎那仏は例外として、東大寺法華堂の仏像群や南大門の阿吽像、南円堂の不空羂索観音菩薩坐像などがあるが、兵庫県の小野市で見ることができるのは不思議な感覚だ。由緒では鎌倉時代東大寺を再興した重源上人とかかわりの深いお寺と書かれていた。快慶作が安置されたのはその縁からだろう。(もしかしたら地域の人たちが東大寺再興にかなりの協力をしたものか。)

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。