浄土寺の国宝は阿弥陀三尊像を安置している浄土堂も指定を受けている。阿弥陀三尊像が巨大なため動かすことは不可能に近いので堂自体を付けたしで国宝にしてもよさそうだが、別々で指定を受けている。
お堂は阿弥陀仏の光背まで計算して建てられているので、ジャストフィットとなっている。それだけならどこにでもあるお堂だが、浄土堂は配置まで計算されている。夕方、西日が差してくると、ちょうどお堂内に光が入る込む。この光が床に反射し、阿弥陀三尊像の背後から光が差しているように見える。西方浄土という思想からヒントを得た演出だろう。浄土寺自体が少し高台にあり、周りに光を遮るものがないため出来る。
お堂は本尊を風雨から保護する目的があるが、光の演出に使っているお堂は見たことがない。慶派の仏像造形のすごさに加えて、見せ方までも考えている良い事例だ。