1年遅れで東博で開催された聖林寺十一面観音展は、特別5室という本館中心にある部屋での開催となった。本館は口型の回廊で常設展が開催されているので頻繁に訪れるが、口の字の真ん中に当たる特別5室は2階部分まで吹き抜けであまり使われない。今回の展示会は展示点数が少なくことからそれほど広さを必要とせず、十一面観音の高さを考えるとちょうど良いスペースである。
もちろん、中心部にはフェノロサや岡倉天心、和辻哲郎が感動した十一面観音が鎮座している。十一面が欠けていたり、痛みがある部分はあるがフォルムのよさは今も昔も変わっていない。聖林寺では正面からしか観ることができないが、今回は360度どこからでも観ることができるので、背面の暴悪大笑面がないことも分かる。来年の冬に奈良博でも開催されることが決定しているが、待つことができずに観に行った。半年後の再開を誓う。