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【皇室の名宝】芦手絵和漢朗詠抄 藤原伊行筆 京都国立博物館

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京都国立博物館で開催中の皇室の名宝展は国宝の出品こそ少ないが、国宝クラス、いや国宝以上の展示品ばかりある。なにせ皇室が保有していたもの、いわゆる元御物たちばかりなのだから下手物は一切ない。しかも、現在も皇室が所有する御物も展示されている。ご即位記念だから見ることができる貴重なものばかりである。

そして、この展示会のすごいところは元御物たちを保管している三の丸尚蔵館から借り受けているものに関して前期と後期でほとんどの展示物が巻替えもしくは入れ替わる。つまり、前期と後期の2回見ても被りがほとんどない展示になっている。その意味では三の丸以外の展示物についてはほとんど変わらないので貸し出した三の丸尚蔵館側の力の入れようが半端ないという証明になる。(ただ、美術品を長く陳列すると劣化するので展示期間を短めに設定した可能性はある。それでも凄いラインナップだ。)

さて、前期の見どころは和漢朗詠のコラボ。京博所有の芦手絵和漢朗詠抄に、三の丸尚蔵館所有の安宅切本和漢朗詠集(伝藤原俊頼筆)と雲母本和漢朗詠集(伝藤原行成筆)が相まみえる書跡好きにはたまらないコラボである。書跡の違いはあまり分からないが、紙質の違い見ればわかる高級感。よそ行きの紙に仕立てられた書は永久保存を前提に書かれた真の名宝である。

この他にも昨年の東博でも展示があった円山応挙の牡丹孔雀図と若冲の超絶技巧の極地である動植綵絵から老松白鳳図などが対面する形で展示。ほかではできないマッチングで通をうならせていた。後半も見に行かねばなるまい。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。