百舌鳥古市古墳群は昨年2019年にユネスコの世界文化遺産に認定された。知っているようで知らなかった大阪南部地域観光地で国宝もあるので訪問した。本来であれば認定から一年が経ち観光客、とくに海外からの訪日客でごった返していたであろうが、そこは日常以下の人のいない風景、ユネスコ効果は無風で観光効果はゼロのようだった。
古市古墳群の見学ルート内にある国宝は誉田八幡宮が所有する神輿と金具。国宝を観るには土曜日の午後に現地に行き、400円の拝観料を払って宝庫を開けてもらう。宝庫の中は真ん中に山車が置かれており、その周囲にお宝が展示されている。時計回りに見るように指示があり、その初っ端に金具、そして神輿が陳列されている。
応神天皇の陵墓に隣接する形で誉田八幡宮はあり、八幡信仰の強い源氏と縁深い。陵墓から見つかった金銅透彫鞍金具は朝鮮国内の出土品ににたようなものがあるが、それよりも装飾性が高いものだそうで、大陸文化の交流場であったことを示す。金具自体は3年前の国宝展でも拝見していたが貸し切り状態なので飽きるまでじっくり見つめることができた。
そして、神輿はご神体を乗せるためのもので、担ぎ手ようの棒を含めても軽自動車の大きさにも満たない。源頼朝が奉献したと伝わるだけあって、細部の細工紺細かく唐草文様の透かしや螺鈿細工など個々の部分部分の見ごたえがある。そして、なによりも神輿は建物類と同じくガラスがない直置き保存なので空気感まで伝わる。金工分類なのに建築類保存と中途半端に大きいために実現した国宝保存方法は必見である。