初乗り運賃が高いことで知られていた泉北高速鉄道。南海電鉄傘下に入っても、なお運賃は高いものの、大阪市内へのアクセスが便利なおかげでベットタウンとして人気があることを背景に乗降客数はそこそこある。
泉が丘駅はベットタウンとして開発が進んだおかけで、高島屋や児童館など商業施設が充実しており、暮らしやすいを追求した街となっている。駅から歩くと30分ぐらいかかる桜井神社だが、駅前から団地群を脇目にしつつ、だんだんと一軒家に代わり、やがて田んぼが見え始めたところにある。国宝がなければ行くことがなかっただろう。
桜井神社の国宝は拝殿で、よくある本殿など一体で国宝となっているついでに指定を受けたものではない。また、歴史の教科書に必ず出てくる超有名神社でもないので、周りの環境はひっそりとしている。アクセスも悪いにもかかわらず、訪問日は休日であったこともあり、参拝者が数名来ていた。知る人ぞ知る穴場神社なのかもしれない。
拝殿は鎌倉時代の様式で作られており、拝殿遺構を残す数少ない実例であることから国宝となっている。しかし、見るからに派手さはなく、構造も単純。ベットタウン化される前までは田畑が広がる牧歌的な場所であったため、戦火などとも無縁だったことが想像できる。現在まで残ったのは地元の人々が大切に保存してきたためだろうから、地域の文化財と言われてもおかしくない。さしずめ、地域の人気者がいきなりトップアイドルになったがまだ地元から通っている、そんな国宝である。