国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

御影堂 知恩院

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令和2年の春は国宝建築の修繕後の落成記念が2件あるはずだった。ひとつは薬師寺東塔。そして、ようやく真新しい建物が観れた知恩院御影堂。ともに大々的な落成法要が営まれるはずであったが、コロナのため見学は中止。華麗なる再オープンとはいかなかったが、長い歴史を持つ両建物にとってはそれもよい思い出なるかもしれない。

薬師寺あべのハルカス美術館で記念の展覧会も企画されていたが、数日だけで中止となり大変残念だった。知恩院は特別な企画はなかったが、近いうちに訪れようと思い、京都非公開文化財特別公開に合わせて行くことにした。

ところが、国宝の三門の公開は期間限定で訪れた時はまだ早く登ることができなかった。加えて、最近流行りのゲリラ豪雨に見舞われてゆっくりと外観を鑑賞する余裕はなかった。豪雨のため中でゆっくり休憩ことにしたので、すべてをやりかえた内陣の美しさを十二分に堪能した。金箔や黒漆をこれでもかと使いまくり、シックな中に豪華さを演出する、これぞ浄土系宗派の総本山と叫びたくなるぐらいの高揚感を醸し出していた。

知恩院を総本山とする浄土宗は徳川家の庇護を受けていたこともあり、江戸時代には多く寄進を受けていた。なので、至る所に葵の御紋があしらわれており、よく明治政府によってお取りつぶしにならなかったものだと思う。御影堂は法然上人をお祀りする場所で、阿弥陀さまが安置されているお堂より豪華な造りなのも不思議である。平等院鳳凰堂よりでかくて豪華な建物に藤原氏を祀るというのは想像しがたい。宗教観の違いを御影堂で思いめぐらすうちに、雨が止んだので退散した。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。