国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

法華経 (一品経) 慈光寺

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東大寺のお水取りは2月下旬から3月中旬まで行われ、これが終われば奈良に春が訪れる。奈良国立博物館ではこの期間中にお水取り関連の資料を展示する企画展を開催している。1270年の歴史ある伝統行事だけあって重要文化財はそこかしこにある。しかし、お水取り関連で国宝はない。

続けて、全国で開催されている建物関連の企画展示が奈良博でも開催。なら仏像館となっている旧館の歴史的資料を展示。設計したのが片山東熊で、師匠となるジョサイア・コンドルで学んだ直筆卒論は必見。明治政府が西洋列強に追いつくためにお雇い外国人を通じて学ぶことの重要性を認識して優秀な学生を多く輩出する政策をとって近代日本の礎を築いた一端が見えた。しかし、ここにも国宝はない。

ようやく、珠玉の仏教美術で国宝とご対面。経典ももとはと言えばインドから中国に渡り、漢字に直されたものを輸入した、いわば異国の知恵を学んだ一端。それを日本風に豪華に仕上げたものが慈光寺の法華経だ。見開きに金泥による豪華な絵が描かれていて、経も写経生による綺麗な字で仕上げている。以前、埼玉県立歴史と民俗の博物館で見たものは美しさに見とれてしまったが、奈良博のものは少し朽ちた部分があり、同様に展示してあった金剛峯寺大般涅槃経中尊寺経〉の方が見ごたえがあった。ただ、経典類は大量に見ると違いがだんだんと分からなくなるので、絵画などを間に挟んで見て楽しんだ。

 

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。