後半に訪れたかった理由の一つは資財帳の展示があるから。
国宝の中の分類で資財帳は、4つが指定を受けている。一つは4月に訪れた観心寺の縁起資財帳。広隆寺には縁起資財帳と資財交替実録帳の2点が国宝指定されている。そして、今回の展示会に出展している観世音寺資財帳は東京芸術大学が所有しているものとなる。
この4つについて展示される機会がそれほど多くない。寺院所有のものは寺宝として大切に保管されているためだろうが、大きな理由は見ても美術的な価値がそれほどないためだ。
淡々と寺院が所有している資財を記帳しているものなので、経典や墨蹟などの美しさがあるわけではない。ただ、歴史的価値があるので国宝に指定されている。なので、テーマが合致した時にようやく出品されるが、それでも他の展示物に比べて地味なので人だかりはできない。
さて、観世音寺は福岡にある寺院で、国宝の梵鐘がある。大陸との懸け橋となる寺院で、日本領土で最初に来客を迎える場所になる。大きな馬頭観音などもあり、日本の信仰心と彫刻技術の高さを示すアピールの場となっている。日本の入口ということで大陸からもたらされる物品をチェックして報告する義務もあったのだろうから、資財帳があるのは当然で、仏の下に律する書として見ると面白い資料である。