刀剣専門美術館というわけではないが、刀剣なしには語れない佐野美術館。名刀への道と題して、奈良から平安時代の刀を展示している。目玉は松井江。岩国美術館所有となった稲葉江が記憶に新しい南北朝時代の名工・郷義弘作とされている代物。ほとんど本物がない郷の作品を江戸時代の鑑定士・本阿弥家がお墨付きを与えたものが数点ある。その一つが松井江で、重要文化財である。
刀剣女子には行きやすい三島駅から2駅(三島大社経由で歩いても30分かからない)で、立地は申し分ないため、大挙して訪れていた。開催期間は刀剣乱舞の実装から5周年ということで、かなり盛り上がったイベントとなっている。
さて、佐野所有の薙刀が国宝となっている。刀類は多数国宝となっているが、薙刀は2件とレアアイテム。備前長船派の作品で、消耗している分があり実戦経験のある薙刀となっている。近世までの戦の形式として刀で「やーやー我こそは」というのは名のある武士で、一般的には弓矢や薙刀なので長物で戦う。その方がケガしにくいので、普通はそうするだろうが、TV時代劇の見過ぎでチャンバラのイメージ残ってしまう。
展示は2階部分のみで建物をぐるりと一周する構造で、真ん中に仏像が鎮座している。多くのものを展示できるスペースがある訳ではないが、充実した内容だったのは佐野美術館の刀に対する造詣の深さがなせる業だったのかもしれない。建物の横には池泉式庭園があり散策を楽しめる。