建長寺は元号を冠する鎌倉五山第一位の名寺で、鎌倉の禅宗寺院の筆頭に位置する。ちなみに円覚寺は第二位だ。鎌倉幕府は平安密教との決別と、中国とのパイプを深めるために禅宗を庇護した。庇護された寺院は立派に作られ、その名残が現在まで脈々と残った。あと、京都や奈良のように近代戦争の戦火を逃れたことも大きく、全国有数の観光都市となっている。
国宝は梵鐘で1255年(建長7年)製造。関東の鋳物師の筆頭だった物部重光によって鋳造された。北条時頼が大旦那となり、開山の蘭渓道隆が銘文を撰している。 入り口近くにあるのだが、正面に立派な三門があり、そちらに目を奪われるため見逃しがちである。国宝があることをもっとアピールしてもよさそうだが、雰囲気を壊さないために見逃し覚悟の配置なのかもしれない。
さて、普段は三門には登ることができないが、訪れた日は特別に登るための受け付けをしていた。京都などでも特別拝観はよくある風景で、帰りに登ろうと素通り。だが、三門登頂は時間と人数が限られており、戻ってきた時にはすでに終了していた。次々と登っても問題ないと思うが、じっくり登頂条件を確認しておくべきだった。