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【仁和寺展】千手観音菩薩坐像 葛井寺

運慶展には及ばないまでも、かなりの込み具合の仁和寺展が今週でいよいよフィナーレとなる。御室派の名品が一挙公開とあって、普段見ることができないもの多く、大変楽しめる展示会であった。

前期の初めに三十帖冊子の一挙公開を見に行ったが、目玉である葛井寺千手観音菩薩坐像を見に再度訪問した。普段から月1回の御開帳はあるものの、厨子の中に鎮座しているところを観るので、とても見にくく全体も観ることができない状態であった。今回の展示では360度全方位から観ることができるため、背後までじっくり観察できた。

まず、一番気になる千手は後ろからしか観ることができない手が多数あり、葛井寺でいくら数えても千本に到達しなかった理由が分かった。千手はもちろん木造の彫り物で、背中部分で羽のようにつながれている。腕部分は多少朽ちてきているものもあり、長年の劣化が痛々しい。また、観音菩薩は11面の顔が頭部にあり、後ろ側にある顔を観る機会がなかった。今回の展示でじっくり拝顔でき、これだけで見に行く価値があった。

200年ぶりに東京での御開帳だったそうで、交通機関がこれだけ発達した現代人でも注目する仏像であるので、江戸時代の江戸っ子はさぞびっくりしたことだろう。しばらくして地元に戻って御開帳されることだろうが、東博で観た感動を胸に秘めて拝むことになるだろう。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。