本日で惜しまれつつ終わる仁和寺展。本サイトで一番アクセス数があったのは両界曼荼羅の記事だった。
同図は誰もが見上げる大きさと、紺色のベースに金で書かれた図は観る者を圧倒する。それを子島曼荼羅は暗闇の中で燈火によって浮かび上がる工夫がなされている。夜陰でのお勤めをぜひ見て観たい。
両界曼荼羅は放射(外への広がり)と渦巻(中心への内包)を幾何学的に表現した。幾何学の語源は土地測量で、曼荼羅は古代土木工学の結晶。神秘性を差し引くと、自然を法則化している。天才には分かる暗号なのかもしれない。
子島寺は高取城の城下町にある寺だ。高取城は奈良にあった城で、明日香村への通り道にある日本三大山城のひとつ。現在は城跡しかないが、飛鳥時代に造られたという猿石があるなど、ハイキングコースとなっている。いまでこそ、自然豊かでのどかな町であるが、国宝に指定されるだけの文化財を恩賜されたり、高低差のある山中に城などを造るだけの財力があった地域になる。今回出品していた御室派の寺院はそれぞれ特徴があり、派閥形成の過程を想像するだけでも面白そう。御朱印集めなどで各寺院を巡礼しても楽しめそうだ。