国宝を観る

国の宝を観賞していくサイト

国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

短刀 無名正宗(日向正宗) 三井記念美術館

www.mitsui-museum.jp

ついに三井にも刀剣女子が来襲することになる。

2020年11月から1月に、国宝の名刀「日向正宗」と武将の美を開催。三井記念美術館の冬展の定番である雪松図を押しのける形での開催となる。

各地で刀剣乱舞コラボによる刀剣展が開催されているが、客入りが見込めるキラーコンテンツとなっている。三井家の秘蔵武具の数々をぜひ見てみたい。

 

レア ★★★

観たい ★★☆

鳥獣戯画 

東京国立博物館のオリンピック期間中の展示は鳥獣戯画で勝負する。

香雪中之島美術館での明恵展でも展示のあったが、今回の展示の目玉は全四巻一気に見せます。ほかの動物作品とのコラボが行われるようで、若冲の鶏や応挙の子犬、曽我蕭白の龍など、名品が惜しげもなくでてきそう。

レア ★★☆

観たい ★★☆

chojugiga2020.exhibit.jp

国宝 源氏物語絵巻 五島・徳川美術館

2020年は東京オリンピック開催で都内が大混雑が予想されるにも関わらず、国宝出品の(可能性がある)展示会が目白押し。

五島美術館源氏物語絵巻全巻魅せますは5年ごとに徳川美術館と交互に開催している展示会。西暦で×0年は五島美術館の開館記念と併せて秋に開催。(徳川美術館は×5年に開催)

なんといっても、国宝・源氏物語絵巻を一度に見ることが出来るまたとない機会なので、麗しき女性が大挙して見に来る。開催は11月で、五島の庭園が色づいた良い時期の開催となっている。定期的に開催しているコラボ展の中では最高クラスの組み合わせとなっている。

レア ★★☆

観たい ★★★

www.gotoh-museum.or.jp

太刀 吉房 ふくやま美術館

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今年、国内屈指の刀剣を保有している小松コレクションが遺族の意向でふくやま美術館に寄贈された。国宝刀剣7本を含むもので、一気に国内有数の国宝ホルダー美術館となった。そして満を持して所蔵品展示の一企画として寄贈品の一部が展示された。
常設展示は310円。なのに国宝刀7本をすべて公開していた。特別展示会でよく見る銘左の国宝2振りをはじめ、重文の名刀を陳列していた。太刀吉房もあり、実用的なごつごつした刀身に荒々しい波紋が印象的だった。
刀の他にも国内、西洋の絵画、彫刻もあり、総合美術館としての収集にも怠りはない。備後の大都市である福山、駅前に城があるぐらいの印象だったが、国宝刀の西の聖地となった。

【正倉院展in東博】竜首水瓶 法隆寺献納宝物

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東博での正倉院展は実物大の正倉院の模型が展示してあった。展示というより設置の方がふさわしい大きさだった。東大寺の北のはずれにある正倉院は平日の昼間に一般公開されているので、気軽に見に行くことが出来る。ただし、あくまでも観るだけで近づくことができない。なので、今回の実物大展示で改めて大きなものであることを再認識した。2020年4月には奈良国立博物館でよみがえる正倉院宝物ー再現模造にみる天平の技ーが開催されると発表があり、正倉院の複製に再開に期待が持てる。

さて、正倉院展では法隆寺の献納品が展示されいた。こちらも2020年3月から東京博物館で法隆寺金堂壁画と百済観音が開催されるので、そこへの出品が期待できる。

いつもは東博のすみっこにある法隆寺館に展示している品が正倉院の品々とともに展示していた。どれも1300年の歴史があり、日本の文化財に対する永続的な保護思想があってこそ。国宝の竜首水瓶も普段は法隆寺館の数多ある品々の1点で、下手をすれば見逃しがちだが、単独で陳列されるとフォルムの美しさが際立つ。特別展にわざわざ展示することもないと思っていたが、たまには常設と違った展示で魅せるのもよい。

太刀 長船景光(号 小龍景光) 東博

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国宝刀剣保有数ナンバー1の東博。刀の展示コーナーは四半期ぐらいで入れ替えがある。入れ替え毎に違う国宝刀が展示されるので、特別展の開催に合わせて観に行くと、新たな刀と出会うことができる。(東博所有の刀だけでも大規模な企画展が組めそう)

刀工の景光鎌倉時代末期の人で、備前長船派のど真ん中の系譜を歩む名工である。その景光の傑作が小龍景光である。写真の倶利伽羅龍が特徴の刀で、作者と作られた時期が銘として刻まれている。来歴では井伊直弼も一時的に保有していたようだ。

富岡製糸場

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明治以降の製造物で国宝指定2例目(第1号は迎賓館赤坂離宮)となった富岡製糸場。近代日本の礎を築くため、外国へ輸出するキラーコンテンツと白羽の矢が当たった生糸を大量生産するために作られた施設である。

明治政府は維新の御旗のひとつである開国をなしえたことで、海外との経済格差を埋めることが最も重要な施策となった。現在においても資源に乏しい日本経済は輸出貿易の強化以外に高度経済成長を見込めない。また、一方的な輸入超過となると植民地化まで考えられ、鎖国した徳川幕府への武家政権復古運動に繋がりかねない。そこで国を挙げての輸出品の推奨生産を実施した中で、富岡製糸場も誕生した。

さて、国宝建築物として、歴史的な建物で日本近代化の起点であるのは理解できるが、他の建築物に比べて美術的要素が乏しい。工場なので仕方がないが、歴史遺産的な意味合いが強い。国宝指定の中でも、美術的要素と歴史的要素、資料的要素などカテゴリーあればよいのだが、すべて単一の国宝とすると美しさを求める美術ファンには物足りない施設となっている。ユネスコ世界遺産指定が国宝指定を決定づけたのは間違いなく、今後も世界遺産関連に注目することで国宝をより素早く観に行きたい。

国宝拝観者たちの夢、千件越えをいつの間にか達成した。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標が完結した。 次の1100件は果てしなく遠いので、1050件を一区切りにしよう。