国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

富岡製糸場

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明治以降の製造物で国宝指定2例目(第1号は迎賓館赤坂離宮)となった富岡製糸場。近代日本の礎を築くため、外国へ輸出するキラーコンテンツと白羽の矢が当たった生糸を大量生産するために作られた施設である。

明治政府は維新の御旗のひとつである開国をなしえたことで、海外との経済格差を埋めることが最も重要な施策となった。現在においても資源に乏しい日本経済は輸出貿易の強化以外に高度経済成長を見込めない。また、一方的な輸入超過となると植民地化まで考えられ、鎖国した徳川幕府への武家政権復古運動に繋がりかねない。そこで国を挙げての輸出品の推奨生産を実施した中で、富岡製糸場も誕生した。

さて、国宝建築物として、歴史的な建物で日本近代化の起点であるのは理解できるが、他の建築物に比べて美術的要素が乏しい。工場なので仕方がないが、歴史遺産的な意味合いが強い。国宝指定の中でも、美術的要素と歴史的要素、資料的要素などカテゴリーあればよいのだが、すべて単一の国宝とすると美しさを求める美術ファンには物足りない施設となっている。ユネスコ世界遺産指定が国宝指定を決定づけたのは間違いなく、今後も世界遺産関連に注目することで国宝をより素早く観に行きたい。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。