「虎は死して皮を留め 人は死して名を残す」
そして、画家は死して絵を残す。
雪舟筆の国宝・山水図は牧松周省と了庵桂悟による賛が添えられている。牧松が賛を寄せて、雪舟の死後に了庵が賛を加えたことが文面で分かり、その内容から絶筆作品となっている。
以前見た北斎の絶筆作である雪中虎図は88歳とは思えない躍動感がある虎で、まだまだ画業を極めていきたいという意気込みを感じる作品だった。対して雪舟の絶筆は水墨画で先人たちに追いついた喜びが感じる作品となっている。浮世絵という職業作家だった北斎の絵に対する向上心を持ち続けた。対して、水墨画の大家として一時代を築いた雪舟は伝統的構図に還り絶筆となった。最後の晩餐ならぬ、最後の描画はオリジナルでないことに雪舟自身が満足していたのだろうか。じっくり鑑賞しながら考えてみたい。
レア★★☆
観たい★☆☆